論文「SC鳥取がJリーグに上がるために」(この論文は、管理人である真面目こうちゃんが中学校の卒業論文として書いたものであり、2006年の1月に作成されました。)SC鳥取がJリーグに参入するために 最近、Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)に新規参入するチームが増えてきている。昨年はヴォルティス徳島とザスパ草津がJリーグに参入し、今年からは愛媛FCがJリーグに参入することになった。また、全国各地でもJリーグを目指そうという動きが活発で、将来のJリーグ参入を目指して活動しているチームが全国に見受けられる。 さて、その中、地元鳥取県のチームで、J2(Jリーグ2部)のすぐ下のリーグであるJFL(日本フットボールリーグ)に所属しているSC鳥取は、先日「2008年度のJリーグ参入を目指して活動していく」という方針を発表し、それとともに目的達成のための事業やクリアすべき課題などを発表した。 今回の論文では、SC鳥取の目標である「2008年度のJリーグ参入」は本当に可能なのか、また、Jリーグに参入するために具体的に何をしていくべきなのか論証していく。 まず、SC鳥取がJリーグに参入することによって生じる地域にとってのメリットとは何だろうか。 例えば、SC鳥取が鳥取県を代表する物の1つとなり、鳥取県の知名度が上がる。また、鳥取県で試合があるときには他チームのサポーターも鳥取県を訪れる。したがって、鳥取県を訪れる観光客が増え、地域経済も潤い、地域の活性化につながるというメリットがある。つまり、SC鳥取がJリーグに参入することはいいことだと言うことができる。 では、SC鳥取が目指している「2008年度のJリーグ参入」というのは本当に可能なことなのだろうか。先ほど述べたことから考えると、実際に2008年度にJリーグに参入できると、その分メリットも大きくなるであろう。 しかし、僕は、2008年度の参入は時期尚早であり、実際に参入するのも困難であろうと考える。なぜなら、まずチームの戦力のレベルがまだ低いと言うことが第一に挙げられる。今シーズンのSC鳥取のJFLでの成績は16チーム中12位であった。また、天皇杯でも、2回戦で東京代表の佐川急便東京SC(JFL加盟チーム)に敗れた。ここから分かるとおり、SC鳥取はまだJリーグで戦えるような戦力ではないと言うことが分かる。 強い選手を補強しようと思っても、そのような選手と契約する場合はプロ契約になる場合がほとんどである。SC鳥取は現在各所に資金の援助を要請しているが、なかなか前向きな回答を得ることができず、資金集めに苦労している。そのような条件で多数のいい選手と契約しようと思っても、これは難しいことである。 また、SC鳥取の知名度はどうであろうか。現在チームが本拠地としている米子や、近くの松江での試合は観客動員数も多いのだが、県庁所在地鳥取での試合の観客動員数は米子や松江に比べて少ない。この状況で、鳥取県を背負って立つようなチームになるのは難しいことであろうと考える。 さらには、先ほども述べた資金の問題であるが、選手補強の他にも、チームを強化しJリーグ入りを目指せるクラブになるには、より多くの資金が必要である。現在のチーム運営費は約5000万円、その中でスポンサー収入は1300万円であるが、来シーズンは約5000万円の運営経費上乗せが目標である、とSC鳥取は発表し、その後各所に資金援助の要請をしているが、なかなか前向きな回答を得ることができないということである。このような状況ではJリーグ入りを目指すことが難しくなってくる。 よって、僕は、2008年度のJリーグ参入という目標は適切でないと考える。 では、どのようにすればSC鳥取のJリーグ参入が可能になるのであろうか。 まずは、最低限Jリーグへの参入条件を満たさなければならない。そのJリーグへの参入条件とは、 1 クラブの法人化 つまり株式会社または公益法人化 2 ホームタウンの確保 3 「プロA契約書」を締結した選手をJ1は15名以上、J2は5名以上保持 4 J1は1種(トップ・サテライト)及び2種チーム・3種チーム・4種チームの保有。J2は1種チームと2種チームでよいが、3種・4種チームがない場合はJ2加盟後3年以内に設置しなければならない。(ただし4種についてはその年代に対するサッカースクール等の活動で足る) 5 トップチームの監督のS級コーチライセンスの保持、サテライトチームの監督のA級以上、2種(ユース)・3種(ジュニアユース)・4種(ジュニア)の監督のB級以上のライセンスの保持 6 常緑の天然芝をもち、原則縦105メートル、横68メートルで、平均1500ルクス以上の照明装置があり、J1は15000名以上、J2は10000名以上収容するスタジアムの確保 7 JFL原則2位以上 である。ここから見ても分かるとおり、Jリーグ参入には多くの資金が必要である。だが、先述の通り、現在SC鳥取は資金集めに苦労している。このような状況では今後も資金を集めるのは難しいであろう。 以上のことからの提案として、僕は、より地域密着の活動を行っていくべきだと思う。地域密着の活動をすると、地域を活性化させ、地域によい影響を与える。それにより、自治体からも援助を受けやすくなるし、また、SC鳥取の知名度も上がっていき、観客動員数が増え、結果的にチケット収入も増える。知名度が上がることによって、法人サポート会員も増えてくるだろう。現在、SC鳥取のホームゲームの観客動員数は、米子市や松江市の試合では多いが、鳥取市の試合は少ない。例えば、2005年シーズンの例を挙げると、米子東山での試合の平均観客動員数は848人、松江での試合の観客動員数は(松江での試合は1試合のみであった)1004人、鳥取バード及び鳥取布勢での試合の平均観客動員数は595人であった。なので、特に鳥取県東部地域を中心にやっていくべきである。 具体的にどのような活動を行っていくかについてだが、チームは、現在運営母体であるNPO法人やまつみスポーツクラブ主導で行われている「復活公園遊び」という青少年育成プログラムを、SC鳥取関連事業として全県範囲での開催に取り組みたいと言っている。 これは地域密着活動としてはすばらしい活動である。SC鳥取はこの活動を米子市に支援してもらえるよう要請しているが、米子市も「是非この活動は継続してもらいたい」と言っているし、よくSC鳥取の試合を見に行くと、この事業で各地の公園に派遣されている選手に、子供達が声をかけている光景を見ることがあるが、これもこの活動が地域に浸透している証拠であろう。このような活動を全県範囲にすることは効果も大きいだろう。この活動はぜひ行っていくべきである。だが、一つ問題点もある。公園の数は多い。全県開催にするとは言っても、これまでのように各地区の公園に行って活動するのは難しいだろう。そこで、現在主に島根県安来市の中海ふれあい公園等で行っているサッカークリニックを、鳥取県東部でも行っていくようにすべきだと思う。また、これは地域密着とは少し違うかも知れないが、マスコミを利用して、SC鳥取の活動を紹介してもらったり、選手が出演して試合を告知するなど、知名度を上げる活動もしていくべきだと思う。 さて、資金も集まってきたところで、今度はJリーグ参入条件を満たしていかなければならない。 ここでは、Jリーグ参入条件を一つ一つ検証していく。 まず、1のクラブの法人化についてだが、これは簡単に言えば株式会社化することである。公益法人化してもいいのだが、Jリーグの31のクラブの中で、公益法人なのはJ2のモンテディオ山形だけである。なので、ここでは株式会社化するという前提で検証していこうと思う。では、なぜ法人化しなければならないのだろうか。それは、プロのサッカークラブを運営するという、責任の重い事業をしっかりと負える体制を作るために、株主がいるために簡単に事業をやめることのできない株式会社という体制にするのである。また、会社組織にしておくと信用が高まり、資金が借りやすくなるなど、様々な面で有利になる。なので、このように定められているのである。 それでは、現在のクラブの法人化への取り組みはどうなっているのであろうか。現在クラブは2006年6月30日までに常勤役員1名、選手・スタッフ30名を雇用できる株式会社を設立したいと言っており、現在企業への出資、協賛の打診中である。また、県内の経済人を中心に、Jリーグ参入キャンペーンの推進及び運営会社設立を目指す「県民運動推進本部」をまもなく作る予定である。 僕は、これらの取り組みは大変いい取り組みだと思う。なぜなら、まず現在クラブを運営しているNPO法人やまつみスポーツクラブの運営能力を考えると、Jリーグクラブを運営するのは不可能である。また、早めに運営法人を設立することにより、しっかりとした経営体質を生み出すことができ、チームが今後Jリーグを目指すための様々な事業をスムーズに行うことができる。 しかし、現在の状況を考えると、運営会社設立は大変難しいだろうと思う。なぜなら、現在、チームの知名度があまり高くなく、協力してくれる企業は少ないであろう。民間の間で先述の「県民運動推進本部」ができたことは大きいかも知れないが、だからといってそれだけの力では企業を動かすことはできない。なので、今はとにかく地域密着の活動を行い、知名度を上げて行くことが重要であろう。そのようにして知名度を上げ、多くの企業の協力を得ることができれば、運営会社設立も容易であろう。なので、運営会社設立については、もっと遅い時期になるだろうと思われる。 次に、2のホームタウンの問題についてであるが、これは6のスタジアムの問題と共に考える必要があるだろう。 このホームタウンというのは、Jリーグの定義によれば「クラブと地域社会が一体となって実現する、スポーツが生活に溶け込み、人々が心身の健康と生活の楽しみを享受することができる町」ということである。簡単に言えば、そのクラブが中心として活動していく町のことであろう。このホームタウンは、基本的には市区町村単位で制定されているが、同一都道府県の複数市区町村や都道府県下全域をホームタウンとすることもできる。現にJリーグのチームでも7チームが全県ホームタウンとしている。加盟チームは、ホームタウンのスタジアムで全主催ゲームの80%を開催することが義務づけられているのだが、SC鳥取の場合、ここで問題が起こってくるのである。現在SC鳥取は米子市をホームタウンとし、米子市営東山陸上競技場をホームグラウンドとしている。しかし、その東山陸上競技場は、Jリーグの開催条件を満たしていないのである。 チームは、短期の目標として、Jリーグの開催条件を満たしている鳥取市営バードスタジアムの優先使用権確保、長期の目標として鳥取県西部地区における民設民営スタジアムの建設をしたいと言っているが、西部地区のJリーグ規格スタジアムの建設は長期の目標であるし、建設費も莫大な物になり、実現はかなり先のことになってしまうだろう。このままだと長期間バードスタジアムがホームスタジアムになり、そして全試合をバードスタジアムで開催することになるであろう。だが、僕は長期間バードスタジアムのみで試合をすることには反対である。なぜなら、バードスタジアムと言うところはアクセスが悪く、また、鳥取市は20万都市であるが、人口密度は米子市より低く、また周辺に人口の多い都市が少ないというデメリットを持つ。現に鳥取市での試合の観客動員数はあまり多くない。 また、米子東山陸上競技場は、駅の目の前と言うだけあってアクセスが良く、周辺に境港市や安来市、松江市と言った人口の多い都市があり、人口密度も高い。それに、米子市はこれまでSC鳥取が本拠地としてきた。現に米子市での試合は観客動員数も多い。そういうわけで、米子市でも試合を開催するべきなのである。しかし、先述のように東山陸上競技場はJリーグ規格を満たしていない。それでは、米子市で試合をするにはどうすればよいのか。 選択肢は2つある。1つはチームが目標としているように米子市に新しいスタジアムを建設する。もう1つは東山陸上競技場を改修する。このいずれかである。だが、前者の方だと、先述の通り莫大なコストがかかる上に、完成まで時間がかかる。それに、スタジアムを作るような用地も必要である。後者の方だと、今ある施設を改修するので、コストも抑えられ、あまり時間も要さない。それに、新しい用地もほとんど必要ない。なので、僕は後者の方法がいいと思う。だが、いくらコストが抑えられるとは言っても、かなりのコストがかかるのは事実であり、しかも、改修の権限を持つ米子市の財政は大変厳しい状態であり、要望を出してすぐに改修されることはないだろう。クラブも巨額の資金を用意しなければならないだろう。そのためにも、地域密着活動を続けていくことが大切だと僕は思っている。 そして、無事に東山陸上競技場がJリーグ規格を満たしたとしよう。すると、鳥取県には東部と西部に1つずつJリーグ規格を満たしたスタジアムが存在することになる。それでは、どの地域をホームタウンにすべきなのか。チームは最小でも県内4市中心とする県域ホームタウンにしたいと言っているが、僕も鳥取県全体をホームタウンにするという方針には賛成である。なぜなら、今後「鳥取県を代表するチーム」として戦っていく上で、鳥取と米子という二大都市のどちらかに偏った活動をしていくことは良くないことであるし、鳥取開催と米子開催、どちらにもメリットがある。そういうわけで、僕は鳥取県をホームタウンとし、鳥取と米子で同じ数ぐらいの試合を開催していくべきだと思っている。チームの方も、県内4市にはすでに趣旨説明と支援要請をすませていると言うことなので、県域ホームタウン化については問題ないであろう。 次に、3の選手との契約問題である。まずは、プロA契約書とは何かと言うことに触れなければならない。 プロA契約とは、選手と年俸480万円以上で契約することである。そのプロA契約をするために必要なのがこのプロA契約書というわけである。 つまり、J2入りの条件である「プロA契約書を締結した選手の5名以上を保持」というのは、年俸480万円以上の選手が5名以上いなければならない、と言うことである。 年俸480万円以上の選手と5人契約すると言うことは、少なくとも2400万円が必要になってくるわけである。しかも、いい選手と契約しようとした場合は、年俸480万円では足りない場合もある。そうなると当然年俸の額を上げていかなければならなくなるのだが、これは経営を圧迫する。現在の運営費5000万円ではとても苦しくなる。なので、収入をもっと上げていかないとJリーグ入りは大変難しくなる。だからこそ、何回も言うようだが、地道な地域密着の活動を続けていくべきなのである。少しずつでもいいので、確実に資金を得られるようにしていかないと、安定したチーム経営は不可能である。現在、チームは運営会社の設立に向けて取り組んでいるが、それも難しいことであろう。だが、運営会社ができれば選手も多く雇用できることになる。なので、今は地道な活動をしていくべきだと思う。 次に、4のJリーグのクラブが保持していなければならないチームについてである。 まず、クラブは、1種チーム(トップチーム、サテライトチーム)及び2種チーム(ユース)を最低限持たなければならない。トップチームはJリーグで活動するチームであり、そのクラブの中で1番強いチームである。そして、サテライトチームというのは、トップチームの2軍みたいな物であり、Jサテライトリーグというリーグで戦うことができる。ユースというのは高校生年代のチームである。また、J2昇格3年以内及びJ1に上がる前に、3種チーム(ジュニアユース)4種チーム(ジュニア)を設置しなければならない。ただ、4種チームの代わりにその年代に対するサッカークリニックらの活動を行っていれば4種チームはなくてもよい。ジュニアユースというのは中学生年代のチームである。ジュニアというのは小学生年代のチームである。 これらのチームの中で、SC鳥取はトップチーム、サテライトチーム(ただし選手不足のため現在は活動を停止中)、3種チーム(SC鳥取主催事業である米子市のヴェルドール、委託事業である鳥取市のプエデ)、4種チーム(委託事業である鳥取市のプエデ)を保持している。後は2種チームがあれば、Jリーグ参入の条件をクリアできる。 2種チームについて、僕は、鳥取市と米子市の3種チームの卒業生などが入る事のできるように、鳥取市と米子市に1つずつ作るのが一番良いと思う。この方法ならばスムーズに作れそうなので、下部組織については問題ないだろう。 ただ、先日SC鳥取は、東部・中部・西部のそれぞれに下部組織を整備したいと言うことを発表し、さらに具体的な案を示してきた。その案とは、今年の下部組織は現行のままで行き、2007年度にヴェルドールの高校部門を設立、2008年にはプエデの高校部門設立と中部に3種チーム・4種チームを設立するという案であり、さらにプエデをSC鳥取主催事業へ転換するという物であった。この考えは地域密着を図るためにも是非実行すべき考えであり、また、中部の人口はあまり多くないので、中部には3種チーム・4種チームを置き、その後もSC鳥取の下部組織でサッカーを続けたい場合には東部または西部の2種チームでプレーする、という効率的なチームの配置の仕方だと思う。だが、SC鳥取主催事業にしてしまうと、クラブの負担が大きくなるため、プエデ及び中部チームは委託事業で行うのが良いと思う。SC鳥取がめざす地域への密着という点でも、この方法で確実に事業を展開していく方がいいと思う。 次に、5の監督のライセンスの問題である。トップチームの監督はS級コーチライセンス、サテライトチームの監督はA級コーチライセンス以上、2種チーム、3種チーム、4種チームの監督はB級コーチライセンス以上を保持していなければならない。 まずはトップチームの監督についてだが、現在、鳥取県にはS級コーチライセンスを保持している者が1名いる。現在チームの監督をしている木下桂氏である。実際に本人が所持しているのはアメリカサッカー協会公認A級コーチライセンスだが、これは日本のS級コーチライセンスと同じレベルの物なので問題はない。また、今年より3年間、J2の湘南ベルマーレでユースコーチをすることになった元GMの塚野氏は、3年間の間にS級コーチライセンスを取得すると言っているので、SC鳥取がJリーグに上がる頃には県内のS級コーチライセンス所持者は2名になっているというわけである。だが、僕は、県内出身の者に監督を任せるべきではないと思う。なぜなら、木下氏も塚野氏もJリーグのプレー経験があるが、指導経験はない。そのため、これからJリーグを目指すようなチームをJリーグレベルまで押し上げるのは難しいであろう。しかし、県外にいるJリーグでの指導経験がある者は、Jリーグのことをよく知っているため、これからJリーグを目指すようなチームをうまくまとめることができるだろう。そういうわけで、僕は県外から指導者、特に、Jリーグでの監督経験のある者を招聘すべきだと考えている。もちろん、県外から招聘する場合には多額のコストがかかる。そのためにも、一歩一歩確実に収入を増やしていくことが大事である。 次にサテライトチームの監督についてだが、こちらはあまり問題がないだろう。A級コーチライセンスを所持している者は、SC鳥取の関係者で僕が知っているだけでも前監督の吉川氏、元監督の山本氏らがいる。他にもA級コーチライセンスを所持している者はいるだろうし、その中から誰かが就任すればいいのである。この件についてはあまり問題はないだろう。 次に2種・3種・4種チームの監督についてだが、これもあまり問題がないだろう。B級コーチライセンスを所持している者は結構多いだろう。僕が知っているだけでも、サッカー部の顧問である○○先生や、SC鳥取の強化部長を務めている廣崎氏、育成コーチを務めている森野氏と3人いるし、他にもB級コーチライセンスを所持している者は多いだろう。なので、あまり問題はないだろう。 最後に、7のJFL原則2位以内という成績条件である。これだけはお金でどうこうなる問題ではない。勝つために多くの資金をつぎ込んでも負けることはあるし、逆にほとんど資金をつぎ込まないのに勝つと言うこともある。スポーツの結果という物は誰にも分からないものであるし、お金をつぎ込んで結果を決めてしまうことなど不可能である。 ただ、お金をつぎ込んで勝利の確率を高める、つまりチームを強化すると言うことは可能である。なので、ここでは、今後のチームの強化について検証していこうと思う。 SC鳥取は先日の記者会見で、クリアすべき課題の1つとして、トレーニング環境・選手スタッフの確保と言うことを挙げた。その記者会見によると、現在は、週4回夜間に2時間のトレーニングを土ピッチでしているが、今後はチームを強化するために、週5回昼間に3時間のトレーニングを芝ピッチで行いたいと言った。それらの具体的な案も先日示されて、今年の株式会社設立の後、昼間練習体制に移行し、2007年にJFL2位以内に入れるように選手を獲得し、スタッフは全員プロスタッフ体制に移行したいと言っている。 だが、先述の通り、運営会社設立は遅い時期になるであろうと思われる。なので、現在チームが抱いているプランが実行できるのも遅い時期になるだろう。そういうわけで、僕は現在の状況のままで昼間に練習できる方法について考えてみた。 だが、このことは難しいことでもある。昼間に練習するためには、選手達が働いている職場から昼間に抜け出さなくてはならない。しかし、SC鳥取の選手の中には、学校や一般企業など、昼間に抜け出すことは難しい職場に勤めている選手も多い。この状況では、サッカー最優先で活動できる選手は少ないであろうと考えられる。 しかし、僕はこの問題を解決できるであろう方法を2つ発見した。1つの方法は、昨年Jリーグに参入したザスパ草津が行っていた方法である。 まず、ザスパ草津が行っていた方法についてである。クラブは選手を労働力として企業(できれば昼間仕事が少ないところ)に派遣する。その企業はその対価としてクラブにスポンサー料を支払う。そして給料がクラブから選手に支払われる。労働時間等に関する企業との交渉もクラブが行うので、選手はめんどくさい交渉に巻き込まれることもない。それに、クラブにとっては運営費が確実に入ってくるので収入が安定するし、地域密着活動を行っていることになるので地域から好感を持たれ、そこからメリットが発生する。企業にとっても、選手が働くので注目を集め、利益が増加する。つまり、選手、クラブ、企業のそれぞれにメリットが発生する、合理的な方法なのである。 次に、SC鳥取の現在の運営母体であるやまつみスポーツクラブを利用する方法である。チームが特別に強化したい選手や、プロ契約を結んだ選手をそこに所属させ、サッカー最優先の活動をさせるという方法である。選手にとってはサッカー最優先の活動ができるのでいい環境である。チームにとっても、環境の良さでいい選手も集まりやすくなるし、やまつみスポーツクラブは青少年育成プログラムを行っているなど、地域密着活動を行っているので、そこに多くの選手が加わることはより活動をアピールすることにもなるというメリットもある。 これらの方法でサッカー最優先の活動ができる環境を整えていけば、いい選手も集まりやすくなる。それに、地域密着活動もできるので、使用する芝のピッチの優先利用ができやすくなるなど、メリットも多い。なので、僕はこのような方法をとるべきだと思う。そして、トレーニング環境も整えれば、いい選手もより集まりやすくなるだろう。 あと、選手・スタッフの補強について述べておきたいことは、スタッフの方も重視しなければならない、と言うことである。 いくらいい選手が集まったからとはいえ、指導者の質が悪ければ選手は活躍できない。また、選手をたくさん補強するより、あまり選手数を多くしないで、じっくり育てる方がコストもかからないし、チームにもなじみやすい。なので、どのような指導者を獲得するかと言うことは慎重に行わなければならないと僕は思う。 そして、練習環境も整い、運営会社も設立され、選手・スタッフも揃ったところで、JFL2位以内を目指していくわけである。 そして、ここに挙げたこれらの全ての条件をSC鳥取がクリアして、Jリーグの加盟申請を出して、それがJリーグの理事会で通れば、無事にSC鳥取はJ2に加盟することができるのである。 さて、ここまで僕が書いてきたことの中で、キーワードとして頻繁に登場した言葉がある。「地域密着」である。 地域密着は地道な活動である。しかし、なぜ地域密着が重要なのかと言えば、それはメリットが多いからである。知名度が上がる、自治体から資金援助や練習場援助など様々な援助が受けやすくなるなど、いろいろとある。そして、地域密着により生じたメリットから、さらにまたメリットが生じる、そこからまたメリットが生じる・・・と言ったような、好循環が起こるのである。それにより、SC鳥取のJリーグ加盟はぐっと近くなってくる。 地道なことをせずに、とにかく早いうちにJリーグ加盟をするという考え方では、結局Jリーグ加盟は遠ざかってしまう。それに、もしJリーグに加盟したとしても、地域と共栄共存ができない、いわば「地域から見放されたチーム」になってしまうのである。これではJリーグの理念「地域の人々に夢と希望を与える」ことに反してしまうし、チームの運営も苦しくなる。 その分、しっかりと地域密着活動を行ってきたチームは、地域と共栄共存し、しっかりと運営のできる、まさにJリーグの理念に沿ったすばらしいチームになるのである。 だからこそ、2008年度の参入を考えるのではなく、もっと遅い時期の参入を目指すべきだと僕は思う。 では、どのくらいの時期の参入を目標にすればよいのか。僕は、2011年度を目標にすべきだと思う。 なぜなら、5年間という時間をかければ、しっかりと地域に根付いた活動ができるし、運営もしっかりとしてくる。じっくりと育てた選手も脂ののってくる頃になるし、Jリーグ加盟の必要条件を満たすことも充分可能であるからである。 では、5年間の中で具体的に何をやっていくべきなのか。 まず、最初の2年ぐらいは、とにかく地道な地域密着活動を行っていくべきである。そして、地域からも認められ、援助を受けることも多くなってくると思う。そこで3年目から本格的な強化体制にはいるべきである。運営会社設立も3年目を目標にするのがいいだろう。 このようにじっくりと時間をかけることが、結局はJリーグ参入の一番の近道だと、僕は思う。 SC鳥取のJリーグ参入への道。その道は茨の道であろう。だがしかし、この大きな目標をあきらめずに、じっくり時間をかけつつ、地域と共栄共存して活動していけば、きっと道は開けるはずである。 鳥取県にJリーグのチームが誕生すること。これは決して、不可能なことではないのである。 参考文献 「サッカーがやってきた ザスパ草津という実験」 辻谷秋人著 NHK出版 「アルビレックス新潟の奇跡 白鳥スタジアムに舞う」 飯塚健司・滝井寿紀著 小学館 参考ホームページ 羽ヶ丘データスタジアム 管理人 羽月新右衛門さん JFLのデータについて詳しく書いてある。 SC鳥取公式ページ 管理団体 SC鳥取 SC鳥取の最新ニュースや公式発表情報、チームの計画などが書かれている。 日本海新聞公式ページ 管理団体 新日本海新聞社 Jリーグを目指すSC鳥取を応援するコーナーがあり、そこにチームの最新ニュース等がある。 お世話になった方々 SC鳥取事務局の皆様 ○○先生 羽月新右衛門さん いまとちさん elmiさん なお、情報及びデータは2006年2月20日現在のものです。 ジャンル別一覧
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